『飛べ！イサミ』とは
このページ、一応ネタバレというほどの情報は示していませんが、紹介ですので「解説」的な情報は入っています。ご注意を。
さて。
「飛べ！イサミ」というタイトルは情報量が少ないため、タイトルだけ見ても「どんな番組だ？」と思う人が多いと思います。実際放送時の新聞ＴＶ欄表記は「アニメ 飛べ！イサミ」となっていました。そんなイサミですが。
内容は、子供達が活躍する「ご町内冒険活劇」です。初期は「ご町内少年探偵物」で、身近で起こる事件を解決する主人公達が描かれていましたが。作品が進むにつれ、当初より名前だけが表に出ていた「黒天狗党」という秘密結社の存在がクローズアップされ、活劇としての要素が高まりました。
主人公は「花丘イサミ」。アメリカ在住でしたが、ニュースキャスターの母親が日本のＴＶ局にスカウトされたのを機に、日本へやって参りました。そして、同じ学校の月影トシ、雪見ソウシと出会うのですが、この３人、幕末に活躍した新選組の子孫だというのです。もっとも、名前のように有名な上級隊士の子孫ではないのですが（笑）。そのご先祖様のメッセージを受け取った３人（とトシの弟のケイ）は、新選組を結成。ご先祖様の残してくれた不思議な剣を武器に犯罪者と戦うのである！。
ところで、イサミの父は新しいエネルギーの研究をしていたのですが、５年前から行方不明になっています。そして、彼とエネルギーを巡って、ご先祖の言葉にあった「黒天狗党」の影が新選組の周りに出没するようになり…。
というような感じで物語は進んでいきます。割とシリアスな活劇のように感じられるかもしれませんが。「バーチャル戦隊ガンバマン」という番組内のヒーローに憧れる子供達が、自分たちがヒーローになることで活躍していく姿を割とリアルに、そしてコメディタッチで捉えた傑作です。
子供達の元気な活躍。子供を見守る大人達の格好良さ。そして、回が進むにつれて個性が爆発して、どんどん変になっていくキャラクターたち（笑）。ともかく、作品中のキャラクターの生き生きとした様が物語のワクワク感を煽って、相乗効果で２５分間をあっという間に駆け抜けていきます。
例えばイサミちゃんの父親を思うけなげな様から、負けん気の強さ、優しさ、ハイテンションな元気の良さ、そして子供らしさ。表情の豊かさだけをとっても、見ていて飽きない主人公です（笑）。そして、全国の父親に「こんな娘が欲しい」と言わせ、全国の少女にスパッツを履く事を覚えさせたと言われるほどに…段々何を書いているのかわからなくなって参りました（笑）。ともかく、イサミちゃんはいい子なんです。ＴＶを見ていて応援したくなるほどに。
例えば、黒天狗党の面々。あんまり書くとネタバレになってしまうので書けないのですが。下っ端の情けなさを通り過ぎて、幹部クラスに近づけば近づくほど。その人間離れした能力と見る者をあっと言わせるに足る強力な個性で笑わせ…もとい、震え上がらせます。
ビデオレンタルにでもあったら、１話を見て貰えればわかると思います。冒頭からイサミちゃんの魅力爆発で、この作品の方向性はバッチリかかると思います。もっとも、後半の想像もしなかったとんでもなく壮大な話は、予想もつかないと思いますが。
ともあれ、この作品は巨大ロボットものでも魔法少女ものでもスポ根ものでもありません。そういった「ジャンル」として話題を呼べるようなものはありません。また美少女満載の「萌えアニメ」でもありません。そういった「ジャンル」に頼らなくても世界は冒険に満ちあふれている。そんなワクワクする児童文学のような楽しさが散りばめられた作品。ともかく、見ていて楽しい作品であり、私が誰にでも気軽に勧めてしまえる、素敵な作品です。
ちなみに、「ジャンル」は外れていますが、「ガジェット」を繰り出せる懐の広さは持っています。ええ、それはもう（笑）。
(2003.11.12)