『獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇』とは
このページ、一応ネタバレというほどの情報は示していませんが、紹介ですので「解説」的な情報は入っています。ご注意を。
さて。
「獣兵衛忍風帖」とは、というところから始めないとならないかもしれません。この作品は1993年6月5日公開された91分の劇場作品で、川尻善昭氏が原作・脚本・監督をつとめた忍者アニメです。山田風太郎氏の忍風帖ものへのオマージュと言われているように、超絶な力を持った忍者と居合いの達人・牙神獣兵衛との戦いを描いた作品です。山田風太郎先生と言えば伝奇物でバイオレンスでエロですが。この劇場版も、そういったエッセンスの描き方が評価されているようです。また、どちらかというと日本での人気より「Ninja Scroll」のタイトルで発表された北米での人気が凄いようです。
そして、川尻監督による２の製作。ハリウッドによる実写映画化などが決定した時に、同時プロジェクトとして企画されたのがこのＴＶシリーズ「龍宝玉篇」です。
制作は同じマッドハウスによるものですが（劇場版のクレジットは制作協力）。スタッフは佐藤竜雄監督以下、全て刷新。「学園戦記ムリョウ」のスタッフに近い構成になっています。また、声優陣も全て交代。もっとも、こちらは獣兵衛と濁庵以外同じ登場人物は居ませんが。そして、ストーリーもパラレルワールド的な全くの別物。公式サイトの説明から引用すると「魅力的な世界観やコンセプトを継承して作られるオリジナルストーリー」ということです。その、殺伐とした戦闘ストーリーのコンセプトは監督曰く「マカロニウエスタン」だそうです。
さて、肝心のストーリーは。
江戸時代。ヒルコ忍群に伝わる龍の宝玉と光の巫女の力が合わさると、大変な力が手にはいるという。その龍宝玉を盗み出したヒルコの民が光の巫女の元へ向かう。同じ頃、同じく忍者の鬼門衆も宝玉を狙っていた。宝玉を追うヒルコ忍群と鬼門衆の戦い。よくわからないけど巻き込まれるカマイタチを起こす居合いの達人・牙神獣兵衛。逃げる光の巫女と縁を持つ濁庵・つぶて。三人の旅に二つの忍者群団と獣兵衛が関わる。そして、宝玉の謎とは？。
といった感じだと思います。最初の数話を見た限りでは（笑）。
作品表現としてアダルトな感じは抑えめになっていますが（ソレっぽいシーンはありますが）、戦闘というか忍者達の描写に関しては、はっきり言ってゲロゲロです。忍者というより仮面ライダーの怪人と言った方が良いような奇天烈な奴らがゲロゲロな感じで襲ってきます（笑）。そういえば、シリーズ構成の井上氏は平成ライダーに関わっていらっしゃいますね。私の場合、生理的にどうこうというほどのレベルではありませんでしたが、そういった描写が苦手な方は避けた方が良いかもしれません。まあ、忍者の設定画を見ても問題なければ、大丈夫だと思いますが。……つまり、もう見た目からして（笑）。
獣兵衛のキャラクターも飄々としてよくわからないタイプです。
画面的には。ＤＶＤ等のソフトでは、放送版から大幅に手直しがされているようで。ＤＶＤで視聴しましたが、クオリティに関しては全く問題ないと思われます。
このあと、物語がどう動くのか知らないので、この項もまだ締められませんが。時代劇好きな佐藤監督が手がけているだけあって、何とも言えないまったりとした殺伐感が気になる作品です。
(2003.11.15)