さて、８巻です。今回はいよいよレニーとローデン王の因縁の話です。
これまでもレニーの過去に関しては数々の伏線やタットン将軍の話として描かれていましたが、いよいよ正念場です。つまり、物語もクライマックスが近づいているという事ですな。
表紙もユーリを挟んでレニーとローデン王の二人。対比されるべき因縁の二人を取り囲むようにある水晶。サブヒロインというかもう一人の主人公であるノエルの出番が少ない事からも、この話が非常に重要なエピソードである事がわかります。
物語はついに牙をむいたボルドによってローデン王が王座を奪われることから始まります。ユーリの敵と言えばボルドですが、ユーラスティア号の敵と言えばローデン王＆ヒップスですから、物語の大転換期です。
更に「魔法の光でものをクリスタルに変える」という秘宝・銀のたまごの存在も明らかに。むろん、クリスタルという名前からもピンとくると思いますが、これが現在最大の懸案となっているレッドクリスタル製造のためのキーアイテムとなっているわけです。
この二つの事象が一つの物語として融合。宝探しの冒険・人間としてのローデン王の苦悩・ボルドの陰謀・そして物語中最強国家であるオーデニア国の行方。大人向けの小説で扱われるような深い人間描写が全編を覆う、少し変わった展開ですが。よく考えれば、これまでの作品でも常に「過去と向き合う人々」が描かれていたのですから、テーマは同じなのかも知れません。そのスポットが当たる人物として、ついにローデン王がやってきたということで。
ある意味最も盛り上がり、最も凶悪な展開を迎える８冊目。読み終わった時にどう感じるかは…。
(2005.11.27)