海賊。
その響きに人は何をおぼえるであろうか。
国家を背負った通商破壊に勤しみ他国から海賊と呼ばれた英国艦隊のドレイク提督か。日本沿岸から南方にかけてを荒らし回ったとされる和寇か。
いや、現在の我々の思い浮かべる海賊としてはポーの「黄金虫」に於てもキーとなった海賊キャプテン・キッドのような伝説的な人物だろうか。やはり、髑髏の旗印無くして「海賊」のイメージはないだろう。
もはや伝説と化した海賊が、未だに強いあこがれを持って語られるのは、その何者にも縛られない自由な精神と海という自然の驚異の中で生活する不屈のイメージがあるからだろう。
むろん、現代にも海賊は横行している。海上で船を襲い、人の命も省みない彼らの行為は許されるものではない。
それでも、ここで海賊が語られるのは、物語に於いて「弱きを助け、強きを挫く」正に英雄然とした自由人が描かれるからである。そんな魅力的な義賊に対して礼を持ってあたるのが、この部屋の趣旨である。