前作「花咲く帝王の樹々」から１年。世界は大きく変容を遂げようとしていた…。
世界を揺るがす予言。旧世界を滅ぼした伝説の妖魔が復活するという。対抗できるのはディムゼンのみ…。しかも、彼が「聖魔術師」に覚醒せねばならない。
風雲急を告げるパラガド王国。しかし、時すでに遅く、謎の煙に巻かれるパラガド。かろうじて脱出したディムゼンたち。高位の魔術師たるヴァジュラ王を頼りニヤラ国へ道を急ぐが…そこに現れたのは人の精気を吸い取る美女であった…。
物語は、かくして始まりを告げる。
前作のコメディとシリアスの比率は逆転。強大な敵に対して登場人物たちは追いつめられていきます。
そして、今回の敵「妖魔」の正体は…。それに気付いた方は、このシリーズの真の位置づけにも気が付かれたかと思います。伝説と現実の交差する世界で、ストーリーの中にちりばめられた数々の仕掛けが展開する様は、まさに「最終戦争」シリーズで山田ミネコ先生が描いてきた「作品の世界の歴史」を重みにしたドラマと言っても過言ではないでしょう。もちろん、壮大なラブストーリーであるという点も見逃せないと思いますが。
この作品単体で読んでも非常に面白いファンタジー作品だと思います。それでも、それだけではもったいないものです。もし、小説を先に読まれた方がいらっしゃいましたら…是非、「最小戦争シリーズ」の漫画を手に取ってみてはどうでしょうか。世界の扉は、開かれるのを待っているのです。