なんでお前は文句ばっかり言うんだ、と言われかねません。アキハバラ電脳組のＴＶシリーズは。正直に言って、作品の完成度という点では今一です。でも、私の好きな作品です。それだけは確実に言えます。
ちなみに、上のサブタイトルは、私が勝手につけた物なので、本編には付いていません。ご注意を（好きなフレーズなんです）。
ストーリーは。2010年。電脳ペット・パタＰが女の子の間で流行っている頃。アキハバラ第３中学校に通う花小金井ひばりが謎の王子様からパタＰ「デンスケ」をもらった。それを狙って悪人のお姉さんが仕掛けて来る。そして、同じく狙われる友人たちと共に錬金術師たちの陰謀の渦に巻き込まれて行く…。
いや、なんか違う気がする。中学生の日常と戦いの狭間を描いた作品。うーん？
この作品がＴＶで放送された時に最も評価を落とした部分は作画の悪さでした。ちょうど、アニメ制作量が急増した頃で、いくつかの作品で制作が間に合わずにクオリティの低いまま放送されるものがありました。アキハバラ電脳組は、不遇な作品でした。
また、漫画が「なかよし」掲載にも関わらず、マニアを狙ったかのような描写、難解な設定、安定しない作画、理解しにくいストーリー構成。正直、厳しかったです。が、個々に話を見ると、「デスクロウ」「白い王子」「五人目…」「温泉」など、個人的に良作・傑作と思われる楽しい回も多数あり、ノリのよいキャラクターの動きと相まってアンバランスながらもそれなりに楽しく見ていました（普通の良作よりもこういった作品の方が好きだし）。
こう書いて行くと、なぜ人に勧めるのか、と思われるかもしれませんが、単発的に見て行くと面白い回が存在する、というだけではないからです。
一番の理由。人に勧められると思うのは、やはり、２０話「羽ひらくとき」があったからでしょう。ネタバレになるのでここでは詳しく書きませんが、この回を見て電脳組の見方を変えた人は多かったようです。マジで心が詰まりました。泣いたと言っていた友人もいました。
人の心、という物を描いた作品としては、近年、ここまで「ズシン」と響く作品は有りませんでした。
そして、この辺まで見て来ると、ストーリーの流れも収束し、キャラクター描写の秀逸さと共に作品自体の評価も変わって来るのです。
まあ、終盤も「燃える展開」とはいかなかった気もしますが。それとは別に、主人公「ひばり」と後半を支えた「つばめ」の２人に絞って言えば、ドラマの深みは素直に感動出来るレベルだった思います。少なくとも、ラスト前でもう一度泣かされそうになりました。
で。番組人気としても、今一盛り上がらなかったような気がしたのですが。実際には、そんなことはなかったのです。
この作品は根強いファンを多く持つに至り、羽ばたくことを辞めなかったのです。単に、キャラクタービジュアルだけで売っているような作品ではないことが確認されたと言ってもいいかと思います。
実際、続編が映画として発表されたこともあり、ラジオドラマを含めて２６話２クール作品とは思えない数のＣＤ（映画も含めてアルバム11枚！）が発売されました。
この映画が大傑作なので、これを楽しむためにもＴＶシリーズを見る価値はある。と思いますが、そういう言い方をしなくても、ＴＶシリーズにはＴＶシリーズの面白さがあったと思います。
幸い、現在見ることのできるビデオパッケージは作画がリニューアルされたもので、もはや本放送時の物とは別物です。そう。修正というレベルではなく、解析した方によれば、回によってはＴＶ放送時と同じ絵を探す方が大変、という話です。ある意味、それだけお金をかけてパッケージ化するだけの作品的価値が有ったのでしょう（尤も、玩具のスポンサーの無いタイプの作品ですから、ＴＶのままでは買う人も躊躇してしまって商売にならないと思いますが）。
まあ、ともかく。
ストーリー構成が独特で、好き嫌いがはっきり分かれるかもしれない作品だと思います。しかし、それ悪い意味ではなく、量産されるアニメの中で異彩を放つ作品である、とも言えましょう。
特に、キャラクターの「個性」や「成長」という言葉が好きな人には見るだけの価値のある作品かと思います。
（2001.06.02）
1998年・ＴＢＳ系放映
アキハバラ電脳組
| 企画・原作 | ＫＡ・ＮＯＮ |
| 監督 | ふじもとよしたか |
| ベースプランニング | 山口宏 |
| メインライター | 長谷川勝己 |
| ＳＦ設定 | 堺三保 |
| プランニング協力 | 小黒祐一郎 |
| ビジュアルディレクター | ことぶきつかさ |
| アニメーションキャラクターデザイン | きしもとせいじ |
| 制作協力 | ガンジス |
| 音楽 | 光宗信吉 |
| 製作 | ＴＢＳ、葦プロダクション |
ＤＶＤ等は「キングレコード」より発売。ビデオ・ＬＤは全７巻、ＤＶＤは全６巻。
ＣＤは「キングレコード」より発売。
| Birth | ＯＰ・birth、ＥＤ・太陽の花 |
| 朱−AKA− | 挿入歌・朱−AKA−、恋しましょねばりましょ（奥井雅美Ver.） |
| Key | ラジオドラマ主題歌・Key、手のひらの破片 |
| アキハバラ電脳組 2011年の夏休み ＆ 少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録 イメージソング | アキハバラ電脳組イメージソング・labyrinth 少女革命ウテナイメージソング・時に愛は |
| Rebis-C.T.i.A/O.S.T | サウンドトラック第１弾 |
| Rubification-C.T.i.A/C.I.S | キャラクターソング集 |
| Azoth-C.T.i.A/O.S.T | サウンドトラック第２弾 |
| FIRST ANNIVERSARY | ＴＶ放映前のラジオドラマ。声優さんも一部違う。 |
| SECOND ANNIVERSARY | ＴＶ放映前のラジオドラマ。声優さんも一部違う。 |
| Dennohgumi-2010・夏 | ＴＶ版の外伝ラジオドラマ。 |
| Dennohgumi-2010・秋 | ＴＶ版の外伝ラジオドラマ。 |
| Dennohgumi-2011・春 | ＴＶ版と劇場版をつなぐ外伝ラジオドラマ。 |
| CYBER TEAM THE MOVIE〜2011年の夏休み〜 オリジナルサウンドトラック | 劇場版サウンドトラック。 |
| Birth-C.T.i.A/T.H.S | ひばり、すずめ、つぐみの３人によるソングベスト。 |
| Monument-C.T.i.A/H&H | ひばり、はとこの２人によるソングベスト。 |
参考書籍