さて、大分遅れましたが４巻の感想です。
今回は…正に負けって感じ。「佐藤竜雄」という名前を「赤ずきんチャチャ」よりも「飛べ！イサミ」で覚えた人間としては（チャチャの頃は意識していなかっただけだけど）、この巻の「特別編」には本当に参りました。
ムリョウのストーリーラインを崩すことなく、イサミ的キャラクターを挿入するという。しかも、イサミの側から見ても奇麗に繋がっていますし。滝沢先生の底力というか、イサミへの愛を感じます（笑）。
これを読んでいて、「イサミ」を知らないという人。２０世紀を代表する素晴らしい作品です。レンタルビデオで探して見てください。と言いたい所だけれど、マイナー作品だから入れてくれているかなぁ。ＮＨＫでは地上波の本放送にＢＳ１回、地上波再放送１回というヒット作なんですが。
まあ、知らなくても、特別編はムリョウ的エッセンス（始くん的エッセンス？）がたっぷりですから、十分楽しめると思いますが。
さて、その「番外特別編」から。
感想も「飛べ！イサミ」的ネタバレ有ですが、この漫画の中で語られていることですから深く考えずに行きます。
一部では、イサミネタの情報が流出していましたが、やはり大江戸市のテロップに驚きましたとも。しかも、本気でどっかで見たような３人組だし。
この時点では完全オリジナルってことで作品の世界が壊れないかドキドキでしたけど。
で、いきなり海からです。しかも、京一くんがＴＶ以上に晴美ちゃん意識しまくりで笑かしてくれます。それ以上に、俗っぽい八葉くんや、「八葉くん人の事を言えないぞ」なひかるちゃんがいい味出しています。
で、山は…星降る里ではなく、林間学校です。課外授業を磯崎先生に任せて大丈夫か？という気もしますが。もう地球も長いんでしょうか。
ムリョウくんは、夏休みだと言うのに相変わらず冬服で課外授業ですから現代だったとしてもびっくりだと思いますが。
で、イサミちゃんと接近遭遇する始くん。まず胸っていうのはお約束ですが。
で、トシ、ソウシの登場。みんな居るのね…。日本のラテン系・ソウシくんの子孫が本気でラテン系なのには笑ってしまいましたが。
自己紹介。月影イサミ…イサミちゃんはトシと結婚したようです。冒頭の「おばあちゃん」が花丘イサミですね。容姿も、快活明朗な性格もおばあちゃん譲りのようです。
まあ、フレンドリーなイサミちゃんの前には始くんも簡単に陥落するのは仕方ないような気もしますが。むろん、那由多ちゃんはおかんむりです（笑）。
で、雨の夜。土石流。巨大過ぎるチカラゆえに制限を受けている「シングウ」に対して、「龍の剣」は個人の持ち物ですから使いたい放題です（笑）。しかし、変身してないから天網組にバレバレです。で、イサミちゃん記憶を消そうか迷ってますが。やられる始くんは捨て犬みたいで。明らかに剣で切られようとしていたので、那由多ちゃん、瞬くんが助けに入りますが。両者の素性を知っているのは一部の読者だけですから誤解は広がりますわな。
で、プール。ムリョウくんが泳がないのはナゼでしょう。まさかあの学生服は脱げないとか…。皮膚の一部？いや、怪しげな見解はやめて。女性陣の水着をどうこう言う暇もなく、始くん、拉致されてます。しかも、再び記憶を消されようとしてますし。
そして語られる宇宙への想い。ＮＨＫ出版のドラマＣＤ「飛べ！イサミ」を聞いてもらってもいいですが。確かに、イサミで語られたことはムリョウにも通じているようです。語り口が違うので、言われなければ気付かなかったですけど（笑）。
それでも、いいことばかり聞かされて育ったんでしょうか。おばあちゃんも大分苦労したはずですけど。それとも、宇宙人の侵略はかなり厳しいものだったんでしょうか。
泣いているイサミちゃんの下へ攻めて来る宇宙人。始くん、もう少しでお婿にいけない危険です（笑）。
で天網組が助けに来ますが。正義のエスパーになっています。しかも、ムリョウくんは学生服姿の正義の超能力少年です（笑）。バビル二世ですか。東丈でも可？
新撰組の方はトシは花椿トシゾウ…二代目とは関係ない血筋のようですな。性格も容姿もそっくりで…時代は繰り返すですか。ソウシは雪見ですから直系のようです。
でムリョウくん秘密組織「祭りクラブ」っていうのは…まあ最近はいろいろな秘密組織がありますからいいですけど。
で、夢を語るイサミちゃんに那由多ちゃん、いつも通り冷たくあたってしまいますが…根が優しいからすぐに自己嫌悪に入っちゃうのねぇ。
そして磯崎先生から語られるルミノタイト。最近は生産まで禁止されているのですか。地球での事故のせい？
そしていかにも悪そうな宇宙人がイサミちゃんを誘惑に来ています。芹沢のじーちゃんの幻影でだまくらかそうとしてますけど、こんな勝手なことを言う人じゃあなかったぞ、というのは幻影だから仕方ないとして。
宇宙人メカＶＳシングウ。始くんとイサミちゃんによるダブル龍の剣とクライマックスも盛り上がるし。
そして、新撰組と祭りクラブの本当の和解。磯崎先生もイキなことをしてますし。オチのイサミちゃんもツボを突いています。
なんっつうか「マジンガーＺ対デビルマン」って感じですが、本当に両作品の「息が合っている」感じが素敵です。ＴＶでもやって欲しかった所ですが、それをやるとセルフパロディになってしまうのでダメかなぁ。ＯＶＡか何かでこういう企画やって欲しいかな。
さて、続く１４話からはＴＶ本編とは話数設定が大幅に変わって来ています。
扉が、今後のキーパーソンの村田和夫氏に伊東官房長官にソーさん。渋いです。
しかし、極秘に種子島に宇宙港って…この時代は種子島付近（近海）は立ち入り禁止だったんでしょうかねぇ。
冒頭、阿僧祇さんからのメールを読んだムリョウくん、珍しく真剣な顔をしています。
一応、星降る里にも行ったみたいだし。
由香梨ちゃんと碧ちゃんもカレー食べてるし。その分、ムリョウくんは食いっぱぐれたようで。
でも、ＴＶに比べて、和夫さんの村田家に占める割合が多いですね。ＴＶでは、割と「慣れている」感が強かったから。
特に始くんは。今日子さんが楽しそうなのは変わらずだけど（笑）。
瀬津名さんとジルさんと磯崎先生の修羅場。磯崎先生、ＴＶ以上に切れまくっています。ジルさん磯崎先生相手に相当モーションかけていたんでしょうか。
そして、阿僧祇さんと百恵様。１００年たってもラブラブな感じでいいですね、これ。
そして種子島。来訪者で締め。ＴＶと切る部分を変えているのがミソかと。
どうも今回は特別編の完成度の高さに目が行ってしまっていつもと感じが違っていますが。１４話がＴＶと同じく、後半の導入部としての説明部分にあたるので割とおとなしめっていうのもあるかと思いますが。
何にせよ、後ろが詰まって来ていますし、後半へ行くほど語りたいことは多くなると思いますから、滝沢先生も大変かと思いますけど。
一読者の気楽さはストレートに「後半が楽しみです」とすすっと言ってしまえるところでしょう。
（2001.09.28）