さて、完全にアニメの後を走ることになった５巻です。この巻は14話〜16話ということですが、アニメの16話後半から22話前半を大胆に再構成したものになっています。１巻なんかが完全にアニメを追随したものだったのに比べると、かなり変えて来ていますが、ひと昔前のコミカライズのように全然違った話になってしまうのではなく。大きなシチュエーションには変化がなく、同じように全部見た気になってしまいます。滝沢先生のコミックスの尺に合わせた再構成能力の高さには感服するしだいです。
でもって、相変わらず、表現自体はアニメよりもわかりやすい感じになっています。
まあ、あんまり細かく見て行くとアニメと同じ感想になってしまうので、コミックス的な所を。
第十四話。
那由多ちゃん、アニメではセーラー服は一度しか披露していませんでしたが、漫画では気に入っているのか学校にはよく着て行っているようですね。でもって、始くんから、祭りクラブの真相を聞かされてびっくりするシーン。キャラクターデザイン／総作画監督のサムシング吉松氏の漫画の雰囲気ですね（笑）。ある意味、ムリョウ的なのかも。
第十五話。
何と言っても、次郎くんの描写でしょう。５巻で一番印象に残った部分です。アニメには無かった「父親が一介のマモリビトである」というシチュエーション。アニメ自体が倒れて行くマモリビトはさらっと流してしまっていたので、結構こたえるものがあります。特に、マモリビトが全滅したあと公園で一人たたずむ次郎くんというのは、他のキャラクターにもあまり見られなかったものを感じさせてくれます。シリアスな顔が妙に格好いいのもなかなか。相変わらず出っ歯ですが（笑）。所々に司ちゃんとの関係もさりげなく入ってますし（笑）。
シングウのチカラに対する銀河連邦の考えも、ほとんど同じ説明ながら、わかりやすくなっていると思います。
おでんパンを食べてぐったりしている京一＆始の両名もなんか微笑ましいです。
それとは対照的に、拳治さんの目の迫力、壌さんの押し殺した怒り、マモリビトの死を思って泣く京一くん、覚悟を決めて笑っている晴美ちゃん、錯乱して泣いている京一くん。止め絵で見られる分、迫力が有ります。「友とか青春とかに弱い」八葉さんは微笑ましいですが（笑）。
第十六話。
ムリョウくんの倒れた理由。晴美ちゃんと京一くんを取り合ったって…確かに倒れてたのはその２人だけどさぁ（笑）。夏休みの瞬くんをからかいまくる瀬津名さんも楽しいですし。あれじゃあ、健全な一高校生としちゃあ、立ち直れないっすよ（笑）。
こゆるぎ野郎。本編の描写位置がアニメと微妙に異なっていますが…言い回しが小林旭（もちろん日活の渡り鳥シリーズ。傑作無国籍アクション映画）なのはアニメ通り。しかも、その後は…宮内洋（もちろん東映の怪傑ズバット。誰が何と言おうと大傑作特撮ヒーロー）ですか（笑）。昔こんな映画を…（＜それは前にも書いた）。
瀬津名さんのもらい物パーティー、アニメでは見られることのない「驚いているムリョウくん」というシチュエーションが割と新鮮。宮ノ森との対抗戦で双葉ちゃんと火花を散らすみづきちゃんというのも、面白いし。
おまけ。
いきなり小学生の女の子たちにベッドで潰される始くん。ここまでやるかね、今日日の小学生は（笑）。
基本的に、描ききれてないキャラクターの紹介的な所が大きいけど、次巻への伏線的な意味でも面白い一編です。
ウエンヌルさんは正に日本に来ている外国人風ですが。ソーさんたちなんて…ああ、外務官の仕事って、ニュースで見てもこんなのだったね（笑）。さりげなく、双葉ちゃんたち、ソーさんにあんみつ？おごってもらってるし（笑）。
ジルさんは格好良すぎ（笑）。前の方のページで裸踊りしている人と同一には見えません（笑）。
しかし、ラストのマップ。これって「働く人」に関する宿題になるのだろうか？？？（笑）。
などど重箱の隅をつつくようなことを書きましたが、重要なシーンをうまく繋げて、スピード感ある構成になっていると思いました。８０年代風に言うと、再編集した映画を観ているような感じかもしれません。アニメ的に時間軸で間を作る代わりに、エピソードの緩急で間を作っていっているように感じます。そこにはさみ込まれた間の部分がコミックスのオリジナルエピソードとしての売りを作っているような。
そして、残りの４話半に単行本２巻分をつぎ込むという構成になりますから、クライマックスはアニメ以上に濃いものになるのかもしれません。アニメで描かれなかった、細かいシチュエーションのようなものも拾っていくようになるのか。それとも、爆発して行くのか。興味は尽きない所です。
（2001.11.14）